電車に iPhone を置き忘れた。届けてくれる人もいれば、中身をのぞこうとする人もいます。iPhone を悪用されずに済むか、ちゃんと追えるか。それは、落としたあとではなく、落とす前の設定で決まります。

この記事では、なくした iPhone を「悪用されず、ちゃんと追える」状態にしておく設定と、それで守られる仕組み、そして落としたあと「探す」でできることを紹介します。

まずはこれだけ:6つの設定

全部、「設定」アプリの中で済みます。まずはここだけ確かめておけば十分です。

  1. パスコードを、誕生日や「123456」のような単純なものにしない(「Face IDとパスコード」)
  2. 盗難デバイスの保護をオンにする(「Face IDとパスコード」)
  3. ロック中に、コントロールセンターなどを開けなくする(「Face IDとパスコード」→「ロック中にアクセスを許可」)
  4. 「探す」ネットワークと、最後の位置情報の送信をオンにする(「設定」→ 自分の名前 →「探す」→「iPhoneを探す」)
  5. 手持ちの iPad・Mac・Apple Watch から、iPhone が見えるか試す
  6. SIM カードなら、eSIM に切り替える

ここまでやれば十分です。この先は、それぞれの設定で何が守られるのか、落としたら「探す」で何ができるのかを紹介します。気になったときに読んでください。

なくした iPhone を悪用されないようにする

パスコードを単純にしない

中身をのぞこうとする人が、まず試すのはパスコードです。誕生日、「123456」、「000000」のような単純なものだと、すぐに開けられてしまいます。

パスコードは6桁の数字のほかに、もっと長い数字や、英字と数字の組み合わせにもできます。「設定」→「Face IDとパスコード」→「パスコードを変更」→「パスコードオプション」から選べます。

盗難デバイスの保護をオンにする

パスコードを横から盗み見られてから、iPhone を盗まれる。そんな手口への備えが「盗難デバイスの保護」です。

「設定」→「Face IDとパスコード」→「盗難デバイスの保護」でオンにできます。最近の iPhone では、最初からオンになっていることもあります。

盗難デバイスの保護の設定画面。スイッチがオン。「Face ID を必要にする」で「普段いる場所から離れているとき」と「常に」から選べる

「常に」を選ぶと、自宅にいるときも同じ守りが働きます

オンにするには、次の5つが、すべてオンになっている必要があります。

  • Apple アカウントの2ファクタ認証
  • iPhone のパスコード
  • Face ID(Touch ID)
  • 「探す」
  • 位置情報の「利用頻度の高い場所」

多くの人は、5つともオンです。盗難デバイスの保護がオンにできないときは、まず「探す」と「利用頻度の高い場所」を確認。

守られる仕組み

  1. 普段いる場所(自宅や職場など)から離れているときは、保存したパスワードやパスキーを使う、紛失モードを解除する、すべてを消去する、といった操作が Face ID でしかできなくなります。パスコードを知られていても、持ち主の顔がなければ、これらはできません。
  2. Apple アカウントのパスワードやパスコードを変えるときは、まず Face ID で確かめたあと、1時間待って、もう一度 Face ID が要ります。盗んだ人がパスコードで乗っ取ろうとしても、その前に持ち主が紛失モードにして、手を打てます。

パスコードを10回間違えたら、データを消去する

「設定」→「Face IDとパスコード」のいちばん下に、「データを消去」というスイッチがあります。オンにすると、中身をのぞこうとする人が、パスコードを当てようとして10回続けて間違えたとき、iPhone の中身がすべて消えます。

守られる仕組み

消えたあとも、初期設定をやり直すには、持ち主の Apple アカウントのパスワードが要ります。パスワードを知らない人は、その iPhone を売ることも、自分で使うこともできません。しかも iOS 15 以降の iPhone なら、消えたあとも「探す」で場所を追えます。

小さな子どもがいる家では、いたずらで消えてしまうこともあり得ます。毎日の iCloud バックアップがあることを確かめてから、オンにするかを決めてください。

ロック中に、コントロールセンターなどを開けなくする

「設定」→「Face IDとパスコード」→「ロック中にアクセスを許可」には、iPhone をロックしたままでも使える機能が並んでいます。便利な反面、なくしたときには、ほかの人にも使える入口になります。止めておくのがおすすめなのは、次の3つです。

  • コントロールセンター:ロック画面から機内モードにされると、iPhone が圏外になり、「探す」で追いにくくなります。止めると、ロック中にライトやタイマーをさっと出せなくなります
  • 通知センター:過去の通知が、ロックしたまま読めます。SMS で届いた確認のコードも見えてしまいます。オフにしても、自分が画面を見れば、Face ID によって普通に見れるので、ふだんの不便はほとんどありません
  • メッセージで返信:ロックしたまま、持ち主になりすまして返信できてしまいます。止めると、通知からさっと返信できなくなります

ほかの項目(Siri、ホームコントロールなど)は、使い勝手と相談して決めてください。

なくした iPhone を追えるようにする

「探す」のスイッチを確かめる

「設定」→ 自分の名前 →「探す」→「iPhoneを探す」を開きます。盗難デバイスの保護がオンなら、いちばん上の「iPhoneを探す」は、もうオンのまま固定されています。確かめるのは、残りの2つです。

  • 「探す」ネットワーク
  • 最後の位置情報を送信
「iPhoneを探す」の設定画面。「iPhoneを探す」は灰色でオンのまま固定され、「盗難デバイスの保護がオンになっている間は、iPhoneを探すが必要です」とある。その下に「探す」ネットワークと「最後の位置情報を送信」のスイッチ

盗難デバイスの保護がオンなら、「iPhoneを探す」は切り替えられなくなっています

守られる仕組み

「探す」ネットワークがオンなら、iPhone がオフラインでも、省電力モードでも、電源が切れていても、AirTagのように、近くの Apple 製品を通じて場所が分かります。最後の位置情報の送信は、電池が切れそうなときに、その場所を Apple に知らせておく機能です。

手持ちの機器から、見えるか試しておく

スイッチがオンでも、いざというときに見えなければ意味がありません。一度、ほかの機器から試しておきます。

  • 同じ Apple アカウントの iPad・Mac の「探す」アプリ、Apple Watch の「デバイスを探す」
  • どれもなければ、パソコンなどのブラウザーで icloud.com/find(人のスマホを借りたときの練習にもなります)
  • 位置情報を共有している家族がいれば、その家族の「探す」アプリからも

eSIM にする

iPhone の設定ではありませんが、SIM も要注意です。

SIM カードは、ピンがあれば誰でも抜き取れます。抜かれると圏外にされるだけでなく、自分の電話番号を悪用されるおそれもあります。

SIM カードなら、eSIM に切り替えておきましょう。iPhone 17 からは、もともと eSIM だけです。

なお、eSIM は機種変更のとき iPhone 同士で移せますが、それは前の iPhone が手元にあるときだけです。なくした iPhone から、買い直した iPhone や予備の iPhone へ移すことはできません。

なので、eSIM にしていても、iPhone をなくしたら、携帯会社に eSIM を再発行してもらうことになります。やり方は携帯会社ごとに違い、夜はショップも開いていません。本人確認の SMS が、なくした iPhone の番号に届くこともあります。なくす前に、使っている携帯会社の公式のページで、再発行のやり方を一度見ておきましょう。

落としたら、「探す」でできること

ここまでの設定をしておけば、iPhone を落としたあと、iPad・Mac・Apple Watch や、人に借りたスマホのブラウザー(icloud.com/find)から、「探す」で次のことができます。

地図で場所を見る

なくした iPhone の場所が、地図に出ます。今の場所が分からないときも、最後に分かった場所を7日間まで見られます。電池の残りも分かるので、電池が切れる前に急ぐか、先に紛失モードにするかを決められます。

近くにあるなら「経路」で、マップの道案内も使えます。

音を鳴らす

近くにあるはずなのに見つからないときは、音を鳴らせます。マナーモードでも鳴ります。

できるだけ早く、紛失モードにする

紛失モードにすると、次のことが起きます。

  • iPhone がロックされ、開けるにはパスコードが要る
  • ロック画面に、自分の連絡先の電話番号とメッセージを出せる(拾った人への伝言)
  • Apple Pay(クレカや Suica など)が止まる
  • 通知や音が出なくなる(電話と FaceTime は受けられる)
  • 地図で場所を追う機能は、紛失モードの間も止まらない

見つかったら、iPhone でパスコード(Face ID)を入れるか、「探す」から紛失モードを止めます。止めたあと、止まっていたカードは、Apple アカウントにサインインし直せば使えるようになります。

諦めたら消去する

見つかる見込みがなくなったら、「探す」から iPhone の中身を消去します。消去は取り消せないので、紛失モードで様子を見てからにします。

消去しても、iOS 15 以降の iPhone なら、「探す」で場所を追い続けられます。消去のときに入れた電話番号とメッセージは、消えたあとの iPhone の画面であっても出ます。そして、パスコードを10回間違えた時と同じように、初期設定には持ち主の Apple アカウントが要るので、ほかの人は売ることも、自分で使うこともできません。

消去しても、「探す」からは外さない

消去したあとに、「探す」の一覧から iPhone を外すと、持ち主のパスワードなしで使えるようになってしまいます。見つからないままでも、一覧には残しておきます。

人のスマホを借りて「探す」を開くときの注意(確認のコードがなくした iPhone に届いてしまう件)は、こちらの記事で紹介しています。

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「盗難デバイスの保護」は、わざと操作を面倒にする機能

1時間待たされる、オフにできない

自宅以外で盗難デバイスの保護をオフにしようとしたり、Apple アカウントのパスワードを変えようとしたりすると、Face ID のあと1時間待って、もう一度 Face ID が要ります。「自分の iPhone なのに」と感じるかもしれません。

でも、自分が待たされる面倒は、盗んだ人にも同じ面倒です。しかも盗んだ人には、2回の Face ID ができません。この面倒こそが、守りの正体です。

自宅にいるのに待たされる

引っ越しや機種変更のすぐあとは、iPhone が自宅を「普段いる場所」としてまだ覚えていないことがあります。しばらくそこで使っていれば、覚えていきます。iPhone は、位置情報の「利用頻度の高い場所」で、普段いる場所を学んでいます。

プライバシーが気になって「利用頻度の高い場所」をオフにすると、盗難デバイスの保護も使えなくなります。

まとめ

iPhone をなくしても、落とす前の設定と「探す」の使い方を知っておけば、悪用されずに、ちゃんと追えます。

  • 悪用されないようにする:単純でないパスコード、盗難デバイスの保護、ロック中のコントロールセンター・通知センター・メッセージで返信を止める(データの消去は、子どもがいるなら慎重に)
  • 追えるようにする:「探す」ネットワークと最後の位置情報の送信、手持ちの機器から見えるか試す、eSIM
  • 落としたら:地図で場所を見る、音を鳴らす、できるだけ早く紛失モード、諦めたら消去(「探す」からは外さない)
  • 盗難デバイスの保護の面倒は、盗んだ人にも同じだけかかる

スマホとカードを一緒になくしたら、ほかにも思っていたよりずっとヤバいことが待っています。落としたあとの全体の流れと、効き目の高い対策は、こちらにまとめています。

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